生まれる時代を間違えて
たまたま美空ひばり嬢の初期のライブCDを久しぶりに聴いた。21歳頃の音源で、ライブ盤としては最も古いものだと思う。
最高にお上手で(当たり前ですが)ゾクゾクしてしまった。
最近のはやり?の機械的な声を張り上げるとか、高い声をどれだけ出すとか、ただカッコつけて歌う歌手とは、次元が違う上手さなのよ。
フジ子へミング氏がインタビューで話してたけど、
「間違ったって良いじゃない、機械じゃないんだから」
という言葉が納得できる。聴いてるのは人間なんだから、人間的な温かさを感じられないとダメよね。
美空先生の20代前半の声も好きだが、20代後半から30代半ばの円熟してきて色っぽく艶やかな中に、ある程度型にはまってる歌い方が堪らなく好き。
例で言うと、ちょうど柔が発売された頃から数年間の柔の歌い方や声質と、30代も後半になり40代以降の柔の歌い方では大きく違う。ぜひyoutubeなんかで聴き比べしてみて下さい。
そんな先生の歌を聴いたら、
「もし明治や大正の生まれだったら。。。それは無理でもせめて戦後に生まれてたら。。。」
と、久しぶりにそんな感情が湧いてきました。
美空先生は勿論、当時現役で活躍していた歌手達が生で聴けたのにと思う。スクリーンでは、栗島すみ子先生や坪内美子さんなどのサイレント映画や杉村春子先生のホームドラマだってリアルタイムで観れてたはず。
母親の実家の亀戸も昔は花街で、夕方には着飾ったお姐さんが歩いてたと思うし、ゲイバーだって当時は日本髪の鬘をかぶって出勤していた豪華さ。
昭和の最後に生まれてきてしまったから仕方のない事だけど、何百年も前の事ではないのに、当時の街の風景なんかを写真で見てると、なんの面影もないほどの変わり様に唖然としてしまう。
そういえば今も働いているバーなんかは、昔ある大きい劇場の跡地裏にあって、昔は美空先生も出演していたみたい。先生がいた場所に私も居ると思うと嬉しくなる。
6月の間ずっと日本におりましたの。
ちょっとはブログ書くつもりで居たのに、気づいたらまた東のパリに戻ってきちゃったわよ(笑)
さいなら。